三五夜の神無月の月釜『名残りの風炉。秋の深まりに炭火の温もりを感じて』無事終わりました。
十月は風炉の最後の月ということもあり侘びの設えでとは思いましたが、お点前担当兼道具組み担当のAさんの発案より、この桶型のやつれの小風炉(瓶掛だったのでしょうか?)と雲龍釜を据え、細水差しの中置きとしました。敷瓦もこの桶型に合わせてかのような小さめのもの、全てが小ぶりですが、前瓦の向こうには炭火の色がはっきり見えて侘しくもありながら火の温もりも感じられる組み合わせとなりました。
また待合の床には、実りの秋を感じる盛物を、これは煎抹両道を掲げる三五夜らしい趣きとしました。
風炉の最後の月釜とあって侘びた道具組みでしっとりとしたお席をと思いましたが、そこは三五夜のお客様。ご参加の方々はとても、和やかでありつつも和気藹々とした賑やかなお席が続きました。本席の床には立花大亀和尚の『千里同風』。法隆寺高田良信管長の書付のある古材の香合、茶杓に大光院住職小堀大嶺和尚作『みやこ路』、掛け花には櫨の照葉と談山神社で見た白野菊。実は先日、三五夜の茶の湯の監修に入っていただいている、裏千家流の準教授の 浪坂宗正先生が奈良を訪れた時に回った折の由縁のものを取り揃えて、紙釜敷は昭和60年の宮中歌会始の勅題「旅」に因んだものと、お点前をしながら滔々と有本宗星さんがお話しされました。
炭火の温もりもさることながら、人の温もりも感じる茶席で皆さん笑顔がこぼれて、お茶が本当にお好きなんだなぁって感じました。そして、この月釜を毎月出来る幸せを終わったあとつくづく感じました。皆さまありがとうございます。
お菓子は萬々堂製の「初紅葉」ちょっと紅く色付いたモミジを表しました。先日、求めた九谷の銘々皿に乗せてお出ししたり、奈良赤膚焼の南都七大寺古瓦の菓子器に乗せて。
干菓子器は大きな根来の盆に三種盛りで。ハロウィンのビスケットはご愛敬。そして振出しの編み袋は、袋師でもある有本氏の自作です(正絹のカセを自分で撚って、紐打ちし、編んだそうです)。
さて、来月はの月釜は11月10日(日)【①10時②12時半③15時】となります。11月はいよいよ炉開き。お茶の正月と言われる大事な月です。天皇陛下の皇位継承の一連の儀式も行われ、令和初の炉開きは、華やかな趣向とさせてもらいたいと目下考案中です。掛物には今話題のアレを持ってこようかと思います。どうぞお楽しみに。