三五夜の表千家茶道教室、毎月一回のお稽古なので、本日金曜日の夜の部が終わり、今年の茶道教室の稽古納めとなりました。
お床の掛物は曼殊院門跡山口光圓門主(第三十九世)の『無事』。
指導される堂後先生曰く「このお軸の”事”の字は大きく円を描いていますね。この三五夜の茶道教室で皆さんはじめ数々のご縁(=円)を結ばせていただき、無事終える事が出来て有難い事です」とお話になり、生徒さん達もお思い思いに今年の出来事を振り返って、先生とお話されておりました。
引き続き今日の生徒さん達は初めて水屋に入り、仕組み茶碗の作法のお稽古をされました。写真は茶巾絞りの作法のお稽古の様子。水屋仕事は、表舞台ではない誰も目にする事のない作法ですが、茶碗を仕組む時こそ心落ち着け、お茶を点てる前の精神統一の大事な一時。三五夜での茶道教室では最も重要なお稽古の一つと捉えてお稽古していただいております。長年茶道のお稽古やっておられる方でも、「水屋の作法は今回ここに来て初めてに等しいくらいで大変勉強になる」と言われる事もあります。三五夜の茶道教室では少人数制を採っており、マンツーマン指導に近いからこそできるお稽古だと思っております。
本日の茶道教室の夜の部のお稽古も終わり、所用でJR奈良駅方面へ三網田(さんごで)町の通りを歩いていくと、通りの入り口にはしめ縄に紙垂が風に揺らいでいました。
これはお正月準備ではなく、春日若宮おん祭りのためのしめ縄です。JR奈良駅の目の前にありながら、この三網田町は古くからの風習を今に伝えています。先日、京都の陽明文庫で神鹿の鞍の上に神の依代を載せた図の鎌倉期の見事な春日曼荼羅を拝見しましたが、この三網田町にもほぼ同じ仕様の春日曼荼羅(木版)があります。明後日12月8日は、三五夜の月釜です。JR奈良駅方面からお越しの方は是非、このしめ縄の下を通って三五夜にお越しください。おん祭りを控え師走の奈良を感じる設えでお待ちしております。