ついついblogの更新が遅くなってしまいましたが一昨日、二日間に渡って開催しました三五夜一周年を記念した茶会『五味六国の聞香茶会』本日無事に終える事が出来ました。
今回の待合は、床に東大寺別当筒井寛秀猊下の『雲無心』、花はススキ、秋草の鏡を月に見立てて、三五夜の名の起こりとなった十五夜の夜を表現してみました。ススキは先月奈良東部山間部の田原にお引越しされたばかりのお知り合いがわざわざ運んで下さりました。前日届けてくださったススキを紫交趾の花器に素早く生けて、待合の床完成です。
待合の煙草盆の火加減もいい感じです。
今回の聞香茶会では三種類の香木を薫いて皆さんで聞き比べていただきました。組香とは違って当てるのでないので、皆さん幾分気楽に香そのものを楽しんで頂けたかと思います。三五夜でご用意させていただいたのは、旧家蔵の頂上沈香、六国のうち真南蛮(香元:山田松香木店)、伽羅(香元:松栄堂)でした。
また第一日目には、香道を修めていらっしゃる方が茶の湯の香点前に関心を持たれて参加して下さりましたが、その方から「良かったら使って下さい」との事で手持ちの大変貴重な香木をご持参下さり薫かせていただきました。大変ラッキーなことにこの席では真那伽まで聞くことができました。
本席床は東福寺同聚院の西部文浄和尚筆、秋草の画に「秋の野に 人待つ虫の 声すなり 我かとゆきて いざとぶらわん」(古今集より詠み人知らず)の和歌の軸、竹台子に鳳凰風炉、名古屋の釜師加藤忠三郎作、三保の松原に富士釜添え、表千家第七代如心斎好みの阿古陀茶入に如心斎宝珠金襴の仕覆を用い、主茶碗は東大寺知足院守屋弘斎和尚作の銘『如』と、香を茶の湯に取り入れた七事式を定めた如心斎と三五夜らしく奈良物を取り混ぜた設えとしました。
主菓子は奈良の銘和菓子屋萬々堂の練切で銘『菊重』、干菓子は京都若菜屋製の栗子点心、永楽屋の橙琥珀の二種盛りで月とむら雲に見立てて、、、。
二日目二席目は京都から吉田 市蔵 (Yoshida鶴栖居Ichizou)様、奈良から大西 伸治 (大西伸治)様の両御大をお迎えして、ほかのお客様もみんなお知り合いや三五夜のご贔屓様という事で、お迎えする我々が緊張する中、両御大のお正客、中正客の絶妙なる進行の差配ぶりで賑やかなる中にも和やかで茶会としての形も崩れる事なくまさにこの記念茶会を締めくくるにふさわしい大団円となりました。この二日間、香点前から濃茶続き薄のお茶のお点前まで全部滞りなくやり遂げた、三五夜の若きホープ 有本昌史君も最後は少し涙腺が緩みかけてたのが印象的でした。私はお客様をお見送りして跡見で今日のお茶とお菓子をいただきつつ、この二日間を思い起こし、また今日の最終席を思い返しつつ、片付けをしている間、チャイコフスキーの交響曲第四番のフィナーレがずっと頭の中で鳴り響いておりました。
今回の茶会は1年間三五夜をやってきた一つの区切りですが、当然ながら到達点でも何でもありません。将来三五夜をこうしていきたいというイメージがあります。まだまだ足りない部分だらけです。皆様のご協力やご指導を仰ぎたいところが多くあります。三五夜に行って楽しかった、良かったという思いを持って帰っていただけるよう今後とも粉骨砕身あい務めますので皆様どうぞよろしくお願いいたします。