ブログを更新する時間がなく、随分と長い間空いてしまい、もう7月に入ってしまいましたが、先月の6月の三五夜月釜『青苔うるわし』も無事に終了することができました。
異常気象というべきか、こう毎年「観測事情〇〇」という言葉に慣れてしまうと、異常なのかどうかも分からないですが、今年は6月末に梅雨開けした模様と気象庁の発表があり、月釜の三日間は猛暑に見舞われて奈良でした。こんなに暑くてはお越しの皆さんもさぞかし大変だろうと、少しでも涼を感じてもらえるようにと考えました。好天猛暑に三日間とも見舞われエアコンフル回転で運転しましたが、三五夜一階の四畳半の茶室は光が直接射し込む事もなく風炉の熱気も何とか抑え込む事ができたかと思います。外の明るさとの対比で茶室の照明は最小限にし、簀戸を通しての縦縞の光を通じて夏を感じました。本席軸は幕末の公家東久世通禧卿の『田上蛍』とし、続き薄で出した平棗の蓋裏にも蛍の蒔絵が描かれて、夕方の席では蛍の夕べのような仄暗い中でお茶を楽しんでいただきました。
入席と順序、簀戸を通しての昼間の外の明るさと対比させる茶室のライティング、濃茶での静寂は皆さんに好評でした。
新しいカウンター席および夕方の部の開催は三五夜の新しい顔、小寄せの月釜では有効に使えそうです。
三五夜月釜ですっかり定着した感のあるお濃茶ですが、毎回これを楽しみにお越しくださるお客様も多いので、お濃茶はその時の趣向も考えながら、特に美味しいお茶を毎回選ぶようにしています。 今月は金沢にある茶舗さん茶舎 觀壽( @mikoto_teahouse )の銘『瑠璃光』としました。オーナーご主人とは最初はsnsの共通の友人から繋がったのですが、後に一昨年金沢にうかがった時にお会いしました。またご夫婦共に奈良にご縁のある方々なので、時々奈良に戻られる時に時間を見つけて三五夜にお越しくださいました。ちょうど先月、オーナーのご主人が三五夜に訪ねられた時に、6月のお濃茶の話をしたら、お店の2種類を送ってくださり先程の『瑠璃光』にしました。
こちらは宇治の茶園から、サミドリという茶種だけで作られた単一品種のお抹茶で非常に香り高く豊かなコクとまた甘みのあるお茶でした。練った後の照り具合も非常に綺麗で、瑠璃光という名に相応しいお茶でお客様にも大変好評でした。
お菓子ですが、近畿ではこの時期には水無月というお菓子をお茶会でもお出しする事も多く、実際三五夜の月釜でも昨年、一昨年と水無月でしたので、今回の主菓子は松江の三英堂 ( @saneido_official )さんの菓銘『星の林』にしました。羊羹地の上に錦玉を乗せ金箔と銀箔を二層に分けて作った天の川をイメージしたような非常に美しいお菓子です。濡らした杉板の銘々皿の乗せてカウンターで食していただきました。
茶室でのお干菓子には、同じ三英堂さんの「うす氷」と、岐阜の奈良屋本店さんの「かがり焼鮎」の二種盛りで、戦前の朝鮮平壌の伝統民芸品のこより紙を漆で固めた八角の綱籠に載せてお出ししました。 三英堂さんのHPには「うす氷」は、文化8(1811)年6月28日に時の松江藩主で茶人大名として殊に有名な松平不昧公が、大崎の独楽庵での朝茶に使われたと文献に残っていたのを、三英堂初代店主が研究し商品化したと書かれています。 6月の三五夜月釜は昨日27日までですが、211年前の今日(旧暦と新暦の違いはあるとして)その日にあたるとは偶然とはいえ夏のお菓子として使った事に奇縁を感じます。
暑さの中お越しくださいましたお客様に香煎かわりに冷たいお飲み物をお出ししました。 ベースに使ったのは、先月の三五夜月釜でバスクチーズケーキを作ってくれた、同じ堂後茶道教室に通う仲間の「パンと菓子 MORIYA」( @yawn112 )さんお手製の梅シロップ。それにカルピスを加えて、炭酸で割って(今回はアルコールは入ってません)お出ししました。ほんのり梅の香りのする爽やかで甘いクールな飲み物となりました。作り方は実に簡単w美味しく梅シロップ提供くださったMORIYAさんありがとうございました。
さて、来月の三五夜の月釜は特別茶会として、私のお茶の師匠の堂後先生( @kibunegiku1008 )にお席を持っていただきます。7月17日(日)・18日(祝)・19日(火)の3日間、各日10時〜、13時〜、15時半です。会費はお一人様5000円。夏大好きの堂後先生の暑気払いのお茶会、連休の2日間は残席僅かとなっております。ご参加ご希望の方はDMまたはプロフィール画面の三五夜HPのお問い合わせフォームからご連絡ください。
三五夜の文月の特別茶会『堂後先生の暑気払い茶会』のお知らせ | 三五夜 JR奈良すぐの隠れ家サロン 茶道、煎茶道、いけばな教室・古美術、骨董、アンティーク展示 (sangoya.shop)