先週、煎茶道黄檗東本流の先生から連絡があり、この度16号聞香付貴人点淹茶点前をお稽古しますのでお越し下さいとのお知らせを受けに東京にお稽古を付けてもらいに急遽行くことになりました。お稽古日は12月14日(土)とのことでしたが、17日は春日若宮おん祭りの当日でお客様がお越しになる予定でしたので、16日中に奈良に戻らなくてはいけなかったので、相変わらずの鎌倉、横浜、東京と打ち合わせ、展覧会、友人の個展など毎度の超過密スケジュールでいくことになりました。
13日朝に東京に到着。その後すぐに渋谷の國學院大學博物館に向かいました。そちらでは、先月斎行された天皇一世一代の重要な神事である大嘗祭に関する展示を行っており、皇居東御苑の大嘗宮公開とは別に大嘗祭そのものを深くその内容を知る事が出来ました。古代から中世、近世と近代の大嘗祭の変遷が興味深くみる事ができました。
國學院大学考古博物館の「大嘗祭」展のあとその足で、根津美術館の川上不白生誕300年特別展「江戸の茶の湯」展へ。そちらは表千家第七代如心斎の高弟川上不白が江戸に下り、江戸で門人を増やしやがて「江戸千家」という一派を作るまでの動向、如心斎との深い子弟関係をうかがわせる資料、道具などを鑑賞しました。展覧会のあとは、本日一緒に同行お願いした友人のA教授のお勧めのカフェで小休止。お店の苔が美しくお手入れされており、ゆったりとお茶できました。
表参道を後にして次は銀座へ清家 正悟 (Shogo Seike)さん の個展へ銀座のビルの屋上にある素敵なカフェバー月光荘サロン「月のはなれ」に行きました。清家さんとは東京時代に知り合って、清家さんの個展の時にお呈茶(紅茶)を承った事があります。今回はアイスランドに行った時の美しい風景の中に可愛い動物が佇んでいる作品と、陶芸家石井圭一さんとのコラボ作品もありました。
久しぶりに元気なお顔を拝見して作品も楽しませてもらいました。
清家さんの個展をみて、本日一緒に同行願いましたA教授とはお別れ。新橋より横須賀線に乗り鎌倉へ向かいました。
新装なった段葛。久しぶりの夜の鎌倉にてアパレル時代の旧友達と会食しました。大いに笑い飲み食べ楽しみんだひと時。みんなそれぞれ歳をとって、住んでる場所、歩む方向は違うけど、久しぶりに会っても、しゃべる内容は服の事が多かったような、、、。あまり専門学校時代と変わらず懐かし気持ちなりました。
今朝の鎌倉は土曜日という事もあり、駅前は観光客で賑わっていましたが、夜は人もいなく静かなのは奈良とも似ています。本日はその友人宅で泊めていただきました。
次の日は、今回のメインイベントである、煎茶道の稽古のため昼前には鎌倉を出発し横浜へ。私を煎茶の世界に導いてくださった大先生のお宅を三年ぶりに訪れて煎茶のお稽古に参加しました。
奈良に移ってから独学で考えていた事、それでも疑問に思ってた事など色々と質問して解を見つけることができました。
特に今回は黄檗東本流に伝わる貴人点聞香付淹茶点前の奥義を学ぶ事が出来ました。
また、大先生が生前残した膨大な資料を跡を引き継いだ先生が一冊の本にまとめておりそれをいただきました。流祖家元と共に流儀を固め、その大先生から直接お教えいただいた最後の者として、その遺志を継ぎ奈良で伝える使命を厳粛に受け止め、その遺志を継ぐ社中のみなさんと来年もまたお会い出来ると思うと、心晴れ晴れしく気持ちも新たに出発できそうです。一夜の宿をお借りした跡を継ぐ先生宅に掛けられた『日々是好日』のお軸の文言が心に深く響きました。
さて三日目は金沢文庫から、また東京方面へ戻り二子玉川へ。第一日目にご同行願ったA教授と再び二子玉川で待ち合わせして静嘉堂文庫美術館で開催中の『名物裂と古渡り更紗』展に行ってきました。開館とほぼ同時に入ったというのに、館内は多くの人。年に数回の展示がある窯変天目(三つある窯変天目の中でも最も光彩が美しい国宝の稲葉天目)が目当てなのかと思いましたが、皆さん裂も熱心に観ておられました。今回は次第の整った名物茶器が仕覆、替仕覆、挽家、挽家袋、外箱(二重箱になってる物は内箱)、外箱を包む風呂敷など普段は目にすることのない道具がまとめて展示されているので大変貴重な機会でした。仕覆は所持者が変わると新たに誂えられたりするので、その持ち主の好みや嗜好も感じる事が出来ました。
一方、煎茶器を守る、仕覆はインドや東南アジア、またヨーロッパの更紗が用いられるる事が多く、明代の金蘭や緞子を用いる茶の湯とは違う世界観を見ることができました。中身の宜興の朱ドロの急須や古錫の趣きのある茶入れなども垂涎の的でした。同行のA教授はイラン・ペルシャの古い染織を専攻とされている先生なので、古裂や古渡更紗の展示品も詳しくお話しも聞く事が大変良かったです。
静嘉堂文庫美術館からはまたしばらく歩いて、
用賀にあるEllipse Tokyoで開催中のyutaokudaのExhibitionと、古賀淳也と奥田雄太によって設立したブランド『Bucephalus(ブケパロス)』のPre Order Exhibitionに行きました。
デザイナーのyutaokudaさんはアペレル時代に同じ会社に所属していた、昔の同僚で今は独立してデザイン活動を行っています。そこに、競泳選手の古賀淳也さんが
Yuta Okuda さんの個展にて、新しい試みでデザインと伝統工芸を繋ぐことの
大切さを感じて活動する古賀淳也Junya Koga さんとお会いしました。お二人の今後の活躍を期待します。
もちろん、古賀さんの現役の水泳選手としてのご活躍も心より期待しております。今日は素敵な出会いができました。
用賀で食事を済ませ、その後地下鉄で西新宿まで。
ヒルトン東京の冬のヒルトピア茶会と同時に開催されている佐々木虚室先生の作陶展に、三五夜のいけばな教室を担当していただいている山村御流の小山佳節先生が、いけばなのお手伝いをされているので、昨日夕方行ってきました。小山先生は奈良に帰る直前でしたが、佐々木虚室先生ならびに茶会を催している表千家千翠会の佐藤文昭先生までご紹介していただきました。
作品では白い楽茶碗が目につきましたが、佐々木先生にお聞きすると土から白くなるものを用いているのだとか、黒楽、赤楽に続いて白楽は今後新しい楽の可能性を感じさせました。いつか三五夜での茶会でも使えたらなと思います。
佐藤先生の茶席では礼でのリラックスした状態で、佐藤先生の思い白いお話しを聞きながら、伊賀上野のいせやの柚子上用と美味しいお茶を永楽即全のお茶碗でいただく事ができました。
掛幅は大徳寺第六代管長伝衣の『相見渾無事』、泰国南鐐打ち出しの建水が目をひきました。
ヒルトピア茶会を後にし、その後はA教授と伊勢丹メンズ館で用事を済まし、晩ご飯を相伴して、最終打ち合わせのあと都合二日間同行願った先生は明日のお仕事のためここでお別れ。本当に長い時間お付き合い下さり有難うございました!
その後は、出発の時間まで、東京時代の顔なじみのお店(Bar)を二軒ほどめぐり近況報告。ギリギリで東京を後にしました。