ご報告が遅れましたが三五夜の弥生の月釜無事終了しました。今回は三五夜の二階八畳の付書院のある座敷に炉を切ったそのお披露目のお茶会と言うことで、奈良の数寄茶人として有名な大西宗伸先生に席主をお願いして、大西先生のお道具で『大和路の春』と銘打って奈良に纏わるお道具と名品で楽しんでいただきました。
お香煎は東大寺二月堂御香水。初日14日未明はまさにお水取りが執り行われ、通常なら堂内外の参詣者にお配りされる御香水ですが、今年は二月堂周辺への関係者以外の立ち入りは禁止されていたため、堂内で御香水を頂くことはできなかったため、例年以上に貴重な水を皆さんに召し上がっていただく事が出来ました。
また、主菓子には、大西先生が特注ひて作ってもらった萬々堂通則 製の「生ぶと饅頭」。ぶと饅頭は春日大社の神餞菓子でありますが、現在販売されているのはそのぶと饅頭を模って脂で上げたあんドーナツのようなものですが、今回はそれを練切で模って作っていただき、それを春日大社の神事で用いられる素焼きの「雲土器(くもかわらけ)」に乗せてお出ししました。貴重なお水と珍しいお菓子を食べて、皆さん待合から大変喜んでいただきましたが、本席でも素晴らしいお道具と設えに驚いていただきました。 本席床には、奈良圓照寺の旧宮門跡の伏見宮文秀女王の『清風在竹林』の墨痕鮮やかな一行を、これは三五夜の二階八畳を「清風楼」と命名し、また圓照寺の住職が代々華道山村御流の家元で、三五夜でも山村御流の華道教室をやっているとの事で特別に掛けてくださいました。その他、茶入れ、茶杓、茶碗などもどれも名品揃いで、後々会記を見ないと到底覚えきれないほどで、見応えのあるお道具を出していただきました。
干菓子もこれまた特注で拵えてもらった、春日大社の神餞菓子、千代の舎製の藤巴を春日大社の神事でも使われている高杯に乗せてお出ししました。お茶碗も本楽が二つ、一服目の薄茶は今回参席してくださった皆様が全員お正客との心づもりで全て箱書がある由緒のもの、そのため箱書が床脇の棚に所狭しとと並べられるようになりました。 また、大西先生のお人柄と人気ぶりからこちらで告知する前にすでにお席のほとんどが埋まっている状態でしたので、裏方が滞ることがない様に今回は堂後先生に相談した結果、同じ社中でお手伝いをお願い方がいらっしゃたので日替わりでお手伝い願いまさしたが、おかげで水屋方も十分に捗りまして助かりました。
無事三日間をやり遂げて、席主の大西先生には大変お疲れでございました。こころより感謝いたします。 今回初めてお越しなられたお客様、三五夜の月釜を楽しみに何度も来ていただいているお客様、こんなに多くの方々に、今回の開炉を祝っていただきまして大変感謝申し上げます。 いつもお点前してくださっているAさん、堂後先生、またお手伝いくださいました堂後茶道教室のお三人様にも本当にありがとうございました。 三五夜の月釜は毎月やっております。
今回のような眼福のお道具はそれほど出る訳ではありませゆが、月々の趣向をゆったりとした空間で心ゆくままお茶とお菓子を楽しんでいただけるように心がけております。 4月は17日、18日、19日、20日と日曜日〜火曜日までの4日間です。各日ともに、10時、12時半、15時の三価席です。桜が終わって藤がぼつぼつといく感じの頃、炉の最後の季節の茶会をどうぞお楽しみにください。 ご予約受付は、ホームページのお問い合わせ欄にございますので是非三五夜お越しくださいませ。ありがとうございました。