2月は奈良の冬の一大イベント、お茶の「珠光茶会」、また東大寺・興福寺・春日大社など奈良公園一帯を舞台とした光のイベント「なら瑠璃絵」が開催されます。今年は2月8日~112日まで、東大寺・春日大社・法華寺・大安寺・西大寺・薬師寺・唐招提寺などの寺社、また奈良町にぎわいの家、大乗院庭園、奈良国立博物館の八窓庵などを会場に、薄茶席・濃茶席・立礼席に分かれて開催されました。
三五夜でも奈良のお茶の一大イベント「珠光茶会」の期間に合わせて、お茶で盛り上がる奈良に微力ながらお力添えしようと4日間にわたって、三五夜月釜を開催致しました。奈良の有名各寺院で様々な流派がお席も持たれ、その中にはお濃茶席もあったとの事でしたので、お濃茶を月釜でもお出ししている三五夜月釜としても、美味しいお濃茶を是非召し上がっていただきたく思い、今月は丸久小山園の『天授』を用いさせていただきました。三五夜でのお濃茶は毎回、各服点て(一椀づつお点前で練って)でお出ししています。各服にする事によって点前で錬る時間はかかりますが、冷めていないお濃茶を各人次客以降の分量を気にせず飲み干す事ができるようになった事は美味しさの面ではよかったのかも知れません。ただ茶の湯での濃茶をいただく精神は、これからも忘れれずいたいものです。皆さん、珠光茶会では美味しいお濃茶をお飲みになられましたか?三五夜の月釜でも、本当に美味しいお濃茶を出ししてますので(お茶会でお濃茶・薄茶2服飲んでいただきます)、是非お越しになって下さい。


さて、それに先立つこと1月末ですが、4月の月釜を担当してくださる「堂後先生の初風炉の茶会」の趣向として、本物の甲冑(武者飾り)を見せてもらう所用がありましたので米子に行ってきました、そのついでに久しぶりに出雲大社に参拝することができました。
稲佐の浜は記・紀の「国譲り」神話の中で、有名な場所として登場します。高天原からアマテラスの御使いとして派遣されたフツヌシとタケミカヅチの二柱のうち、タケミカヅチが十拳剣(とつかのつるぎ)を波頭に逆さまに突き刺し、鋒の上に胡座をかいて座り、地上の国である「豊葦原瑞穂国(トヨアシハラミズホノクニ)」を治める大国主(オオクニヌシ)に、天孫に国を譲るように迫ったその場所です。 様々な曲折の末に、オオクニヌシが国譲りを承諾するとアマテラスに「皇孫が天つ日継ぎを受け、統治する宮殿に負けない天にも届く高さと大きな神殿を私(オオクニヌシ)のために作る」ように願い、アマテラスがそれを受けて作ったのが出雲大社だとされています。 さて、この中に登場する神々では、タケミカヅチとフツヌシは春日大社の第一神、第二神として、十拳剣は後に神武東征でも登場し、大和を平定し橿原において初代天皇として即位すると、「布都御魂(フツノミタマ)」として石上神宮の御神体として祀られます。オオクニヌシは大己貴命と同一神とみなされ三輪山を御神体とする大神神社と繋がります。天つ神と国つ神、出雲と大和は切っても切れない関係を持っているように感じられました。稲佐の浜の近くにある奉納山(こちらには歌舞伎踊りを始めた出雲阿国の記念碑がある)の山頂に登り、同行のZさんと篳篥で「五常楽」を演奏しました(あまりの寒さに指が機能麻痺してましたが)。そう言えば、篳篥のリードも葦を削って作られています。篳篥も豊かな葦の育つ国の楽器だなぁと思いました。



また大社の参道にある創業90年の老舗漢方薬局「堀江薬局」は、ベストセラー「血流がすべて解決する」の著者で最も予約の取れない漢方薬剤師として有名な堀ママ( @hori_mama_ )こと、堀江昭佳さんのお店ですが、こちらも訪れてアドバイスをもらいながら自分の体質改善に効果のある漢方紅茶を求めました。久しぶりの出雲旅、心配された大雪の影響もなく参拝時には天候も穏やかになり、呼んでいただいた事に感謝しました。

4月の「堂後先生の初風炉の茶会」の詳細に関しては、ホームページのイベントカレンダーに載っておりますので、是非ご参加下さい。

また 毎年2月11日は三五夜の茶道教室に通っておられる生徒さん達の新年会と銘打って、お稽古日が異なっていて日頃お会いする事がない方々に一堂に会していただいておりますが、今年も無事に終わりました。
和のお稽古事は通常、三度稽古が基本で月3回稽古に通う事を想定して月謝などを決められているところが多いかと思いますが、三五夜の茶道教室に関しては、毎月週の第一週目、日曜日、火曜日、金曜日の時間帯に自由に枠をとっていただく形式にしております。そのため、カレンダー通りのお休みではなくシフトなどで決まった時間帯や決め難い方や、仕事の忙しい月にはお休みして、その代わりに時間の余裕のある月には回数とらわれずお稽古を集中的にしたいなどのご要望にお応えできるように、一回毎にお稽古代を頂戴しております。
また、副産物としてですが、一度お教室に入ったら先生を変わる事がなかなかできないという和のお稽古事にありがちなケースも、一回毎に料金を頂戴する事によって解消できているようです。とは言っても、三五夜の茶道教室を担当してくださっている、表千家教授の堂後宗邑( @kibunegiku1008 )のお人柄とお茶に関する知識の豊富さからか、お稽古に続けて来られる人が多く、いつも間にか毎月ほぼ毎月定員いっぱいとなっております。そして今日の新年会会にも通われている生徒さんたちの半数近くがご参加くださいました。今日は全国的には建国記念日の祝日で、日頃ならお休み取りづらい方も何ヶ月も前からこの日だけは、お休みをとるべくスケジュールを調整してくださっています。

この日は日頃のお稽古の成果を活かす実践の場とすべく、お稽古で特訓された炭点前を発披露してくださる生徒さんやお稽古ではお点前を披露する事などない方もお茶会形式のこの場でお点前を披露してくださいました。この教室に来られて始めてお茶をされる方々も、今日はみなさんが主人公のハレ舞台に上がったような感じです。今年一年またお稽古続けられて、また来年はどんなお点前を披露されるのか月々のお稽古にも真剣に取り組まれるきっかけとなるのではないかと思います。今日はまた、三五夜に関わる人々を影日向の別なく応援してくださる、奈良の大先達でお茶人さんでもあるO先生(先生のカイロプラクティックにはここの教室の生徒さん達も通われている人々がいます)がお越しくださいました。いつも、楽しいお席を作ってくださり感謝です
