一足早く炉を閉じて風炉の準備を行いました。
本来なら先週末11日12日は、岩手の三五夜の月釜を監修されている裏千家准教授の浪坂宗正先生をお招きしての、先生のコレクションによる眼福の茶会になる予定でしたが、新型コロナウィルス流行のため延期にしました。延期ですので、今年十月にもう一度浪坂先生に名残りの風炉で月釜をやっていただく予定です。それは、詳細決まり次第お知らせします。
さて本題にもどって風炉の準備。まずは、釣釜を外し朝鮮風炉を用意して灰の到着を待ちます。灰はいつも三五夜の月釜でお点前してくださっている、有本宗星さんお手製の貴重な灰。有本さんは毎年、自宅の庭で灰を篩って水に浸し、灰汁と不純物を取り除き、乾かして灰を綺麗にしています。時期は青天の続く真夏。炎天下のもと、文字通り灰まみれ汗まみれになって作業をしているというから脱帽です。茶家では、もし火事になっても兎にも角にも灰だけは持って逃げろといわれるほど、灰は茶人にとって命の次に大切なものといいます。そんな貴重な灰を三五夜のためにもって来て下さいました。
作業は手慣れた有本さんが中心に私はお手伝いにまわりました。朝鮮風炉に灰を入れ、灰型を作りこの時の灰型は「一文字」です。火袋と釜の高さ合わせは
丸毬打(まるぎっちょう)の長さ(二寸=6センチ)+五分(2センチ)ほど加えた高さが必要なのだとか、慎重に高さを確認しながら灰を押していきます。風炉には炭点前で客が近寄って拝見がなく、また席入りで風炉を拝見したとしても前瓦があって客は灰型は見る事はできません。見えなくてもそれはそれは、とても見事に灰型を作って下さいました。ありがとうございます。
次に炭をおこして湯を沸かし釜の試運転。今年から慎重した朝鮮風炉ですので、どんな感じか楽しみなところ。今日は三五夜の茶道教室にも出稽古に来て頂いている堂後先生にもお越しになっていただいて、三人で釜の調子を確認しました。
来月には三五夜の茶道教室は風炉のお稽古、月釜も初風炉の茶会です。来月末には必ずやこの状況も改善されている事を願い準備は怠りなくやっています。
さてそれに先立つこと、私もお稽古に通わせていただいている、堂後先生の大森町の教室では、土風炉の灰型作りも有本さんが行っていましたので、そちらもお手伝いしてきました。私は乳鉢で鱗灰の準備。粒子が細かく少し粘りが出てくるまで延々30分ほど乳棒を回し続けます。その間に有本さんが「遠山」に灰型を作り、乳鉢で頃合いになった灰を灰匙にのせて、丁寧に丁寧に一枚ずつ置いていきました。何故、完全に綺麗に遠山に整えた灰型の上に鱗灰を乗せるのかというと、不完全な美をもとめる千家の茶道らしい美の表現なのだそうです。