先週の8月22日23日の両日開催しました三五夜の葉月の月釜「はなやきの舞と茶」が無事に終了しました。今回はお茶会と日本舞踊のコラボレーション企画・二部構成で会費は通常の月釜同じ(濃茶各服点て・薄茶二服・上生菓子・干菓子付き)に、花柳流師範・「花仁会」主催の若手ホープの先生の日本舞踊が付いて会費はいつもの月釜と同じという一会で二度おいしいという出血大サービスのようなイベントとなりました。
会場には即中斎好扇形立礼卓を用いてお客様も椅子席にてお茶を召し上がっていただき、その後、椅子を180度回転していただき、茶室の三畳で花柳 綱仁氏 (@tsunahito )による日本舞踊を踊って頂くという形式にしました。


花柳綱仁先生のプロフィールですが、昭和63年生まれ、3歳より日本舞踊花柳流に入門し、現在花柳芳綱師に師事。平成17年名取を許され、平成21年に師範免許を得る。平成23年京都造形芸術大学舞台芸術学科卒業で現在33歳というとてもお若く長身のイケメン先生です。現在お住いの兵庫県西宮市と東京大森にて教室を開き平成27年から一門会「花仁会」を定期的に開いおり、昨年は三回目の花仁会を国立文楽劇場に於いて公演するとあわせて自信の勉強会も開催するなど、活動の場をさらに広げ古典作品の伝承とともに振り付けなどにも力を入れている。今年の「花仁会」は8月29日(日)に西宮能楽堂で開催されます(予約制)。第50回なにわ芸術祭新進舞踊家競演会に於いて奨励賞などを受賞。国立文楽劇場主催による新進と花形による舞踊・邦楽鑑賞会や、坂東玉三郎出演、演出による鼓童公演「幽玄」などに出演するなどの活動を幅もさらに広げておられる大変期待大の先生です。さらに、三五夜での花柳流の日本舞踊のお教室もやりたいとおっしゃって頂き大変うれしく思ってします。ご希望の方が、綱仁先生にお稽古つけて頂きたいと思われる方、ぜひ三五夜までご一報ください。

踊りの演目は、夏らしい一曲と初秋にかけての一曲ということで、端唄「縁かいな」と、地歌「葵の上」から。
♪ 夏の納涼(すずみ)は両国の 出船、入船、屋形船
揚がる流星 星降り(くだり) 玉屋が取り持つ縁かいな
さまざまな歌詞がある中でも「夏の涼みは両国の〜」の歌い出しの歌詞が特に有名で、季節柄今回はその下りを中心に隅田川界隈の夏景色を歌い上げた場面で幕開け。その後綱仁先生は自らご挨拶。曲の説明となりました。



続いて第二曲目の地歌「葵の上」は、源氏物語の第九帖「葵」より取材した謡曲「葵上」から取られた「本行物」で地唄舞の流儀ではとくに大曲とされています。今回は前半後半と分けて、あらすじと踊りの見どころなどを踊りとお話を交互にしていただきました。





第一部のお茶会は主菓子とお濃茶、薄茶に干菓子と召しあがて頂きましたが。今回のお濃茶は京都大徳寺横の皐盧庵茶舗(こうろあんちゃほ)の銘「桐壺」。花柳綱仁さんに踊ってもらった地歌「葵の上」にちなみ、「桐壺」にて月釜の幕開けをとの趣向でした。 また主菓子は奈良の隠れた銘店「おくた」さんのきんとんをもちいました。以前からずっと月釜で使いたいと思っておりましたが、今回それがようやく叶いました。こし餡の具合も良く、また生地には山芋がたっぷり使われていて弾力のある粘り、そしてその大きさが食べ応え十分でした。 スカイブルーに白い色かところどころにかかり、夏雲がもくもくと湧き上がるような感じがまさに「夏雲多奇峰」と呼ぶに相応しいお菓子でした。


今回の月釜にコラボとして馳せ参じてくださった花柳 綱仁 ( @tsunahito )先生、舞台と座敷という距離感や、また踊る事かつ演じる事(今回は地歌「葵の上」で人生初の7回葵の上を打ち据えたとの事)、踊りというのは通常の姿勢よりももっと脚の筋力を使うとの事で相当体力的にもご無理申し上げたかと思います。踊りの後は日本舞踊の、あれこれをお客様にも親しく語られて私も勉強になりました。重ねてお礼申し上げます。花柳綱仁さんの花柳流日本舞踊の会はまた今後もワークショップや日本舞踊とお茶会、その他の伝統芸能のとコラボとして企画したいと思います。
そして最後にこの三五夜の月釜にお越しくださいましたお客様様、天気もすぐれず、また社会情勢的にも何かと行動する事やイベントをする事に、何となく引け目を感じる今日この頃ですが、そんな中ようこそおいでいただきまして重ねて感謝申し上げます。ありがとうございました。