今年秋の三五夜の一大イベントの一つ、東京府中市にある『龍生軒20周年記念茶会』での煎茶席が無事に終了しました。
「龍生軒」は茶室建築の大家である中村昌生氏が最晩年に手掛けた表千家の茶室で八畳の広間と三畳半に 原叟床の付いた小間 、待合も兼ねる立礼席、内露地が高層マンションのワンフロアに収まるという表千家の教室のあったお茶室で、現在は肥後古流の江上大輔さんが、管理・運営をされています。今でも教場として、茶会・茶事も場として、また江上さんが主宰の「欠伸茶会」では広く一般募集もかけて月釜も行っています。
今年の三月に三五夜でその江上大輔さんに肥後古流の特別茶会を、関西初として三五夜で開催していただいた、ご縁で今年の9月23日に行う、龍生軒20周年を祝う記念茶会の第一弾(9月23日)にお声がけいただきました。龍生軒には5月に訪れた時も大変立派な茶室に驚いたのですが、その茶室にて煎茶席をとのお声がけを大変光栄に思い「是非とも」と快諾したのが経緯です。
荷物もまとめて煎茶道具一式を前々日に発送し、自身は前日府中の龍生軒入り。午後から設え、当日は8時から第一席、途中電車の遅れなどで参席者が予定通り到着しないなどアクシデントもありながらも、第七席まで無事に終えることができました。会は、まず広間にて三五夜店主である私の受け持つ煎茶席に入って頂き、本日のための丸久小山園さんのトップランクの玉露をお手前にてお淹れしました。茶の湯には親しみがあるお客様も煎茶会はあまりご経験がない方もいらっしゃるかと思い、目でみて違いが分かるように、亭主の私の衣装は明代の国子監 (官僚ための学校)の学生や先生たちが着た衣装でお手前しました。
煎茶が茶の湯と大きく違うのは、茶の湯(侘び茶)が「国ぶり」のお茶であるのに対し、煎茶が「異国ぶり」のお茶であるところだと思います。どちらも日本で出来上がった日本の茶道ですが、どこの部分を大切にし、表現するかによって随分違うように見えますが、同じ茶を扱うということでは同じとも言えます。
当日煎茶席では、もう一つの見せ場である雅楽の生演奏もありました。三五夜の茶会やイベントでもよくお世話になっている、篳篥奏者の雑喉さん率いる、鳳笙奏者の 野津さん 、龍笛奏者の 纐纈さん。雑喉さんは大阪楽所、野津さん、 纐纈さんは東京楽所という豪華メンバーです。
お菓子は、西麻布「ときわ」の松本店主が裏方でその場で作ってくださった、できたての栗きんとん。煎茶では第一煎目を頂いてから、お菓子を召し上がっていただくのでしばらくは目で楽しみながら、うま味たっぷりの玉露の第一煎の後に、つなぎを使わず栗のみで作った絶品の栗きんとんを味わっていただきました。
さらに、点心席でもサプライズが。ご飯はこれまた裏方でお釜で炊いた、出来立てほやほやの炊き込みご飯を松本店主がよそってお出し、椀物は北海道の旬の松茸の入った豪華な懐石でした。
抹茶席では、江上さんが亭主でお出迎えして、宇治のシングルオリジンの貴重な抹茶を濃茶・薄茶で点ててお出ししたそうです。
多くのお客様に本当に楽しんでいただき、この会を無事に終える事ができました。三五夜としても三年目にして、一大エポックとなる会となりました。
このような会に呼んでくださいました、江上大輔 ( @dsk_1983 )様、及び龍生軒の関係各位、また雅楽を通じてお付き合いさせていただいております雑喉泰之様 ( @zakouya_bunuemom )、龍笛、鳳笙でご参加くださいました東京楽所の野津さん 、纐纈さん。また当日はお童子(茶の湯でいう半東)をお勤めくださり亭主の裏方としていろいろと頑張ってくださいました 三田 智鶴 さん。大変お世話なりました、本当にありがとうございました。
そして『龍生軒20周年記念茶会』 は11月5日(土)、6日(日)に第二弾としてさらに華やかに開催されるようです。またまた龍生軒らしい素晴らしい趣向だとお聞きしています。詳細は、ただいまイベントページの公開設定が制限されていますが、私および三五夜のお客様であれば是非にとのことです。質問等あれば、私までお問合せ下さい。お取次いたします。
ぜひ秋の東京での楽しいひと時をお過ごしください。