三五夜では昨年から、不定期ながら茶事も執り行っています。先日(2月23日・24日)と三五夜茶室にて、私の茶の湯の師匠堂後宗邑( @kibunegiku1008 )先生の夜咄の茶事を行いました。私も場所提供の責任者でもありますので「名ばかりw」亭主として、堂後先生と二人亭主として名を連ねる事になりました。
夜咄は、茶事をされる先生でもなかなかされる事なく、またお客様も夜はなかなか出難い事情もありますので、開かれる事も大変珍しいせいか、三五夜の月釜にお越しのお客様にお声かけさせていただきましたら、大変興味を持って楽しみにお越しくださいました。
夜咄ならではの、暗がりの中での手燭の交換や蹲の作法、お席での火道具の扱い、また灯燭のあかりのみでいただくお料理やお茶は、昼間のお茶事とはまた違った風情がありました。 堂後先生のお茶の先生は大変お茶事好きの先生だったらしく、毎回東京柿伝の数江瓢鮎子先生のお茶事教室に通っては、習ってきたての熱が冷めないうちに奈良のお教室ですお茶事をされたそうです。





堂後先生も表千家教授として、数江流のお茶事の知識を堂後茶道教室の生徒さん達にお伝えしていますが、お稽古とは違う本当にお客様をお招きしてのお茶事を常々したいと思ってたところ、三五夜という空間が、お茶事のできる構えを備えた建物であったため、お使いくださる事になりました。
ご縁とは全く不思議なもので、三五夜の建物は元々料亭の別館として、お茶事をするために建物内部を改装していました。その後料亭は閉めた後も別館の建物は残り長年使われずにいました。ちょうどそんな時、私がお茶の出来る空間としてオーナー様とお会いしてお茶の心得があるならと貸してくださる事になりました。(後日聞いたところ、同じようにお茶をやっている方から借りたいとのお話しがあったそうですが、お互いのお茶への思いが違ったらしくその時は断った事もあです。)誠に縁とは不思議な物で、今はオーナー様からお会いするたびに感謝のお言葉聞いております。3月4日(土)開催の『奈良町家シンポジウム』では、その具体例として三五夜のお話も取り上げていただき私も登壇いたします。
堂後先生のお茶事は、お料理も一つの目玉です。先生の長年のご経験からお茶事の献立にも、決まりきったメニューではなく、意外な取り合わせや驚きがありながら、筋は茶事の形式を踏み外さない絶妙なバランスを保っています。
料理もお茶事も本物でとの事ですので、料理方にもプロの料理人とのおに入っていただきます。偶然にも三五夜のsnsのフォロワーさんで私の知り合いの出張料理人の牧田旬加( @jun.ka1012 )さんを紹介したところ、とても気に入ってくださったので、お茶事の時は京都から奈良まで来ていただく事になりました。牧田さんも和食のプロとして腕を磨きつつ、若手らしく堂後先生のアイデアや教えを柔軟に対応してくださいます。 また、今回は水屋には共に堂後茶道教室の社中さんの @himeyuri_san も入ってくださいました。水屋での火焙りや煙草盆の炭の具合、灯燭の具合、前茶、点て出しの他、台所に入って汁張りや盛り付けの補助もしてくださいました。本当に助かったと先生も感心しておりました。




私は当日は受付、案内、膳の進行状況を台所に伝えたり、お菓子の準備・点て出しなどで裏方に徹し、最後続き薄の薄茶だけ点前を変わってでました。当日までの、書状作成送付、器出し、掃除など前準備と、本日の器の片付け掃除は当然ですが。 茶事はもちろん亭主一人でするスタイルもありますが、全てを満足出来るようにするにはやはり裏方の手助けが必要です。そういう意味では、今回は誰一人欠けても回せるものではなく、他の人の動きを察しながら、自分が動けるようにならなければならないと、「お茶は客も亭主も一体となったチームプレイ」と堂後先生もお稽古でお話しになられますが、本当にそうだと思います。夜咄の茶事は今回私も初めてで、慣れないところも多々ありました。またまた深い勉強をさせていただきました。
お料理のご感想では、お茶事が終わってからお客様から「こんなに多くの人におもてなししていただきながら、お料理もお茶も滞りなく進んで素晴らしかったです」とのお言葉をいただき、一同身体の疲れも吹き飛ぶ、心の充足感に浸りました。今回もありがとうございました。

次回は5月に正午の茶事を、堂後先生亭主、牧田さんのお料理で行います。 ご案内は三五夜の月釜にお越しのお客様にお声かけしております。ご希望の方は月釜の時に三五夜店主にその旨お伝えください。
お茶事に参加されたい方も、まずはぜひ一度三五夜の月釜にお越しください。お待ちしてます。
