先日の三五夜のブログでもご紹介させていただきましたが、3月4日(土)に、『奈良町家シンポジウム』が開催され、三五夜店主の私もパネルディスカッションに登壇させていただきました。(開催内容については前回のブログにて記載しています)。
参加者は午前中に、奈良町に古い町家の中でもお茶室のある3軒のお宅をめぐるツアーのあと、午後からは猿沢池そばのならまちセンターに集まる、京都建築専門学校副校長の桐浴邦を夫先生の基調講演「茶室-都市の中の自然」を聴講し、第二部のパネルディスカッションでは、茶室の有効活用の具体例として、三五夜の活動を取り上げてくださる事になって、三五夜店主の私も登壇して、桐浴先生達パネラーと討論をする事になりました。
今回のイベントでは、『奈良町のお茶室拝見記』という一冊のレポートが作成されました。現在、観光用語として通用している「ならまち」と、歴史的背景を基準にした『奈良町』には多少認識の違いがあり、今回は元興寺旧境内を中心に発展した「ならまち」を取り上げています。三五夜はJR奈良駅近く「奈良町」の西端にあたります。三五夜の近くには有名な三条木戸口があり、千利休が転害門辺にあった松屋を訪れた際は、松屋久政がここまで見送った逸話が残る茶の湯に関係深い故地であります。
その約1km四方のエリアにおよそ25年前に奈良の建築家団体が調査した記録に残るだけでも71軒もの茶室があったとも。そのうち現存するものが51軒、今回の茶室調査に応じてくださったのが20軒ありました。それぞれに実測と図面起こし、使用される木材や構造・意匠を建築家の方々が検分されました。茶室がご専門の桐浴先生が驚かれたように、その茶室の存在の密集度は全国的にも大変珍しく特徴的です。いかに奈良の人々が、昔からお茶に親しんでいたかが分かるといえます。
ただその茶室のほとんどは、現在は使用されていないか、保存も危うい状況のようです。持ち主の意向は最大限尊重しないといけなく、また茶の湯が奈良の文化の全てではないので、その利用に関しての善悪はないので致し方ない事です。 三五夜のようにオーナー様のご理解ご協力はこの上もなく幸せな事です。そして、奈良が好きでお越しのお客様にお茶の空間を提供できる事の有り難さ。
私は奈良出身ではなく、また5年前までは東京でファッションの仕事をして(商品開発の仕事をしながら煎茶道はやっていましたが)、茶の湯はこの奈良に来てから本格化した者ですが、それだからこそ、奈良の貴重な文化及び残された物の大切さを常々感じます。今日はその想い語らせていただきました。
シンポジウムは地元にお住まいの方が多く参加されていたようですが、その大切さを少しでもお伝えできたかなと思います。今回のイベントを開催しまたご紹介くださいました、奈良町にぎわいの家の皆様、スタッフの皆様ありがとうございました。本日お越しの皆様本当に有難うございました。
冊子には三五夜は「非公開」となっていますが、茶会等利用事は見学可となっています。そこは茶室が本当に稼働している空間です。是非、月次の月釜や特別茶会にお越しください。
翌日は、月の第一週の日曜日でありましたので、一階にじり口のある四畳半下座床の茶室では、表千家堂後宗邑先生にお越しいただいて開いていただいている、茶の湯、表千家の茶道教室、二階8畳の本座敷では、奈良にゆかりのある尼門跡寺院に伝わる華道の伝統を受け継ぐ、生駒敦先生のいけばな教室『旬枝を生ける』がありました。
どちらも、1階ごとに受講料をお支払い頂くシステムになっており、ご自身の都合のよい日時を決めてご予約いただくようにしているため、シフト制のお仕事、土日にお仕事が入る可能性があって、先生の都合による定まったお稽古日が設定されている従来のお稽古事・習い事教室とは違って、大変好評を頂いています。
春になって新生活がはじまった皆さん、お稽古事してみようと考えていらっしゃる皆さん、いかがでしょうか?JR奈良駅前にある古民家で、アクセスも便利です。JRの奈良駅からだと徒歩2分、近鉄奈良駅からでも、歩いて13分の好立地です。